・水に溶けるとは


 話が前後して申し訳ないが、いったん基本に立ち返り、物質が水に溶けているのはどういうことなのかを考えよう。

 水は比較的よく物を溶かす。しかし、水に溶ける物はイオン性物質もしくは極性のある非イオン性物質に限られる。いわゆる油の類(極性のない非イオン性物質)は水には溶け難い。

 イオン性物質の例を挙げると、食塩(塩化ナトリウム)、塩酸、酢酸などがある。極性のある非イオン性物質の代表はしょ糖などの糖類、さらにベンゼン環にニトロ基が付いたニトロベンゼンや、水酸基が付いたフェノールなどが挙げられる。なお、ベンゼン自体は極性がない非イオン物質なので水には溶けにくい。

 

 電荷、極性があるものは何故水に溶けるのか?理解を簡単にするために、まずは水に溶けない物の場合を説明する。先述のように水自体は分子の形状のゆがみから極性をもつ。水のような極性溶媒中では、極性を持たない溶質、非極性物質は極性溶媒の電荷からの反発を受けるので、散らばって存在するよりは、自らが固まりあって水との接触面を最小にしようとする。従ってこのような物質は水に拡散できず、溶けない。

逆に極性、電荷を持つ物質はストレス無く極性を持った水の中に分散できる。だから水に溶けるのである。

 イオン性の物の場合は本来有るべき水分子と入れ替わる置換型の溶解、しょ糖のような分子性物質は水のクラスターの間隙に入り込んでいく侵入型の溶解をする。前者ではクラスターを形成する水分子群の中の一部と置き換わる訳であり、後者の場合はクラスターの中のすきま若しくはクラスター間の間隙に収まってしまう。

  非極性溶質の凝集


   置換型溶解(イオンの場合)    侵入型溶解(分子性物質の場合)