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・アンモニアの影響 淡水魚と浸透圧の項で述べたように淡水魚は鰓よりほとんどの(80%以上)アンモニアを排出する。 この排出は電解質の吸収の時のエネルギーに依存した能動的な輸送ではなく濃度勾配に依存した受動的なものである。つまり、アンモニア濃度の高い血 中よりアンモニア濃度の低い環境水中にアンモニアが自然に拡散して移行するのである。このように濃度の濃淡をベースにした物質の移動であるから、環境水の中のアンモニア濃度が高くなればなるほどアンモニア排泄が阻害される。水槽の中のアンモニアの濃度が高いからアンモニアが体内に入って行くと言う風に言われる方が多いようであるが、それは大きな誤解である。鰓に入っていく血液の中のアンモニア濃度は3ppm、鰓から出ていく血液のアンモニア濃度は1ppm程度という。 一般的に言ってアンモニアの生体内における毒性は主に脳神経に対するものである。また、通常生体内ではアンモニアは酸化を受けやすく、亜硝酸イ オン、硝酸イオンに変化し、亜硝酸イオンはメトヘモグロビン血症という赤 血球の酸素運搬能を阻害する呼吸毒性をもつ。 魚の場合、環境中のアンモニアの毒性の発現は上記の理由の他、鰓からの酸素吸収を直接的に妨害する可能性も考えられると筆者は考える。何故なら塩化アンモニウムが鰓での酸素利用率を低下させているという研究結果もあるからである。 また、ちまたで環境水が酸性であればアンモニアがイオン化され吸収されないのでアンモニアの害は少ないと言われているが、私はそれを疑問視している。なぜなら塩化アンモニウムは明らかに酸性物質にもかかわらず、つまり、アンモニアがイオン化されている状態であるにもかかわらず魚に対しての致死的な毒性が知られている。先述のようにアンモニアイオン、塩素イオンは負の水和をすることが知られている。私の推測の域をすぎないのであるが、これらのイオンは排水的な水和をすることにより鰓の微小構造を壊してしまう、もしくは酸素利用率を低下させるということも考えられるし、鰓における炭酸ガスの交換に携わる酵素(脱炭酸酵素)の働きを阻害することも考えられる。 水槽の水中のアンモニアが有害なのは魚体に吸収されるからではない。 酸性ならばアンモニアは無害というのは見当違いである可能性がある。 アンモニアの害を防ぐことを謡い文句にするアクアリウム・グッズは多いが、アンモニアの毒性を本当にわかってのことだろうか?上記の私の主張はこの文章を読まれる大部分の方にとって初耳の説と思う。だが、少なくとも前者は紛れもない真実である。疑うのなら、各種の魚類生理学、若しくは魚病学の本を読んでいただきたい。 「水槽の中のアンモニアが多くなると、アンモニアが吸収され・・・」とか、「水が酸性だとアンモニウムイオンとなり体内に吸収されない・・・」というのはまるで誤った見識である。生存可能なアンモニア濃度でアンモニアを魚が外部から吸収することはないのである。 |
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