・ROの歴史

 「ROはNASAにより開発された最新式の浄水器」といった類の宣伝文句をよく聞く。だが、真相は異なるようである。NASAによる宇宙開発の課程でROが利用されたことが有るかもしれないが、実際の開発の端緒は海水、鹹水の淡水化である。ROはアメリカ内務省塩水局のプロジェクトにより1952年若しくは53年にフロリダ大学のC.E.Reid教授によって提唱され、1960年カルフォルニア大学のLoeb、Sourirajanによって初めて酢酸セルロースでできた逆浸透膜が開発された。Loebらが開発した膜は分離を行う非常に緻密な細孔層の部分の厚さが1ミクロン以下(この厚さが薄いが故に水の透過性に優れる)でその下には強度を持たせるためにスポンジ状の支持層(厚さ数十ミクロン)がある。このような膜構造は非対称膜と呼ばれ、現在用いられている様々な人工膜に応用されている。蛇足であるが、Loebの業績はこのような膜を考案したというよりもその製法の考案にある。このような表裏で非対称的な構造をもつ膜を張り合わせではなく、同じ素材でしかも1段階で、凝固させる時に異なった膜の構造化をするのである。このようにして作られた膜をLoeb型非対称膜という。

 ROの歴史云々を知ろうと知るまいとROを使う上で何ら問題は無い。敢えて、ここでその歴史を述べさせて戴くのは冒頭で述べたように、ROが、決してNASAが開発したものではないことをご存じ戴きたいからである。昨今、ROを販売する業者が増えている。が、決して「NASAで開発された」云々ということを売り物にしているような不勉強な業者からはROを買ってはいけない。そういう業者に限って著しい高価格で販売している傾向がある。

 この項の参考文献は文献4、13、14。