・ヨーロッパの某ブリーダーと東南アジアの某ブリーダー

 某ヨーロッパ系の著名ブリーダーのお寒い低次元な話をご紹介したいと思う。氏は東南アジアからディスカスを輸入してエライ目にあったようである。自分のところの魚まで病気が蔓延してしまったのだということで、それで東南アジアの魚は病原菌にまみれている、だから東南アジアから魚を買うなとエライご剣幕である。

 しかし、彼には一つだけわかってないことがある。それは、前章にも書いたように、何も病気が出たのは輸入する前の状態で病原菌を保持していたからとは限らないのである。自分のところは無菌であるとおそらく彼が信じている水槽に、新たに入れられる魚にとって未知の病原菌がいれば、先のシラスウナギと同じく魚が全滅しても何ら不思議ではない。おまけに発病魚がそこかしこにいればそれだけ病原菌の数は爆発的に増殖することになり、本来耐性のある自分のところの魚までが発病してしまうことだってあるのである。

 彼がこんなことまでを知っていれば、もう少し慎重にことを運んだであろうが、自分のスキルの無さと管理の怠慢を棚に上げて人を非難するのは情けない。おまけにホームページで堂々と「東南アジアの魚を買うな!!」とまでおっしゃっているのは自らの無知をさらけ出してしまってるようにしか思えなく、苦笑を禁じ得ない。

 さらに、極めつけに、「東南アジアのディスカスの血筋が悪い」とまで言ってるのは「悪い冗談は止せ!」って類のお笑いぐさである。自分らが作るワイルドの子孫のディスカスこそが一番良いみたいなことも書いているのだが、さもありなん、ワイルドから交配が進んでないほうが、遺伝的に見て強いのは当たり前である。血が濃いものを上手く系統を残していくということにディスカスの趣味としての楽しさと醍醐味がある。ワイルドの子孫が強いのは当たり前である。

 そもそも病気を出すなんて、しかも飼ってる魚のほとんどをやられるなんて、その原因がなんであれ、ブリーダーとしては恥以外のなにものでもない。良識のあるブリーダーならそんなことを口外しないし、出来ない。まして、それを他人の非として非難するのはお門違いである。

 また、この笑い話にはさらにおまけがある。このヨーロッパのブリーダーの話にムッとした某東南アジアのブリーダーが反撃を試みている。なんだか少しピントがずれているという感もないわけではないが確かにこちらのほうが正論である。バクテリアなんてどこにでもいてそれのバランスが崩れただけ、確かにそうであろう、長旅もストレスになろうし、水槽に入れる前に十分な期間、検疫水槽に入れるべきであるって、ふむふむ、これも正しいであろう。

 だが、彼らは、三段階滅菌で有名なヒカリのアカムシを実際には使ってもいないのにかかわらず使っているくらいは平気で言えるし、"associated farm"がという理解出来ないもの存在するし、お金を払うことを心良しとしない客は相手にしたく無いという割には大した魚を送ってくるわけでもない。特に二番目の"associated farm"はいかにも東南アジア的な良心の無さである。いくらそれが自らの信用を傷つける行為だといってもご理解いただけない。自らのファームの名前でお金を取りたい、価値を持たせたいのであるならば、余所で魚を作らせるようなことはせず、自分のところだけできっちり管理して育成すべきである。ちゃんとした管理の元での創作、生産それが物事の価値である。例えば、国産の有名ブランドの製品を買ってそれがmade in Thailand, Malasiaだったらみんながっかりするでしょって。

 こんなことを知ってしまうと、いくら正論を言われても所詮きれい事にしかきこえない。東南アジアのブリーダーはあくまで東南アジアのブリーダーであることを痛感した次第である。正論を述べることが出来るだけに非常に残念である「東南アジアの魚は・・・」という偏見を持たれても仕方がないものがある。